オリンピックバーの構造


シャフトの材質

バーベルというのは頑丈である必要がありますが、一方で延性も求められます。高い延性を持つことは非常に重要で、それによって繰り返し高重量でのトレーニングを行なっても、元の形(直線)を維持することができます。突然折れてしまうような脆いバーベルでは困ります。多くの高強度スチールというのは頑丈ではありますが、延性が無いという点でリフティングバーにおいては不適切です。引張強度(Tensile Strength)という言葉がありますが、これはある材料に引張荷重を加えて行った時にバーベルが折れずに耐えられる限界の強さを表します。降伏強度(Yield Strength)とは変形を起こさずに、材料に生じさせることのできる最大応力のことを指します。アロイスティール、ステンレススティールのいずれにおいても上述したポイントを考慮する必要があります。

 

引張強度と降伏強度について

どんな材質であっても、引張強度と降伏強度は製造する過程で上下します。製鋼所では、熱処理を行う際に引張強度と降伏強度において最低限満たすべき目標値があります。熱処理時にはこの目標値を下回ってはならないのですが、製造後にはこの値を上回ることがほとんどです。18PSIを超える引張強度を持つバーベルは、徐々に弾性を失い、非常に硬くなっていきます。ウェイトリフターはしなりのあるバーベルを好む一方で、パワーリフターはより硬いバーベルを好みます。多くの会社は20PSI以上の引張強度を持つバーベルを製造していますが、それはオリンピックリフターにとっては使いにくいのです。

 

スリーブと材質について

スリーブの表面処理で最も品質が高いとされているのは硬質クロムの上塗りです。バンパープレートのハブは製品によって硬さが異なり、トレー二ングで繰り返し叩きつけているとスリーブが簡単に傷んでしまいます。しかし、硬質クロムで表面処理することによってスリーブは強靭なシェルで保護され、ハードなトレーニングにおいても破損することはありません。装飾クロムメッキですとひび割れ、剥がれによる危険性も伴いますので、スリーブの仕上げとしては望ましくありません。

 

シャフトの表面処理について

装飾クロム

装飾クロムは今日に至るまで多くの企業で採用されてきましたが、名前にある通り主な使用用途は装飾なので、バーベルの表面処理としては望ましくありません。特に激しく使い回すような場合においてはバーベルにひび割れが入ったり、メッキが剥がれてきたりするので、非常に危険です。

 

亜鉛メッキ/p>

他の表面処理と比較してもまずまずの耐食性を持つめっき処理ですが、使用に応じてすり減っていくことがあります。

 

硬質クロム

硬質クロムは1990年にアメリカンバーベルが世界で初めてオリンピックバーにおいて採用しためっき処理です。この硬質クロムはただ見た目が美しいだけでなく、ひび割れや剥がれによる危険を防止する上でも効果的です。硬質クロムはあまり耐食性の高い材質ではありませんが、正しく使用していれば安全な材質です。硬質クロムは非常に薄くて硬い表面処理で、初めて実用化したのは航空機と自動車産業です。

 

ステンレススティール

ステンレススティールは耐食性の点では非常に優れていますが、コスト面でなかなか手が出にくい材質です。加えて、正しい組成と正しい熱処理がなければ加工するのが難しい材料です。一方で正しく設計・使用されれば、耐食性は他の硬質クロムや亜鉛メッキよりも優れており、またバーのケアも簡単で表面が傷つくこともありません。ステンレススティールは極度に湿度・塩度が高い環境では錆びてしまうこともありますが、前述した通り誰でもケアができるということがは非常に重要です。専門家は必要ありません。

 

セラコート

セラコートはアメリカンバーベルが初めて導入しました。セラミックでの表面処理は耐食性の観点ではどの材質にも負けません。ただし表面が削れたり割れたりしてしまえば保護することはできません。ですのでガンラックやJフックなどにバーベルを掛ける際は、十分気をつけて取り扱ってください。